グルップボエンデ井荻 井荻介護日記2015年03月

3月1日　(日)
午後のティータイム、皆さんでお話していると、東京宝塚劇場の話になりました。「姉に連れられて行きましたね。」とSYさん。「行きましたね。」と、さらりとTAさん。「女学校では、先生方が宝塚に行く生徒には注意を払っていたわ。」とMHさん。どうやら今も昔も、流行を追う若者に大人はあまり寛大ではないようです。テレビなどの娯楽が少なかった頃、華やかなステージや男装の麗人に心ときめかせたのでしょうか。今も時々ご家族と行かれるというDSさん。時代は変わっていきますが、ファンはたくさんいるのだそうです。宝塚は、皆さんの人生を彩る楽しい思い出のワンピースなのだと知りました。

3月3日（火）
今日は、ひな祭り。午前中、KYさんと近くのスーパーまでお買い物に出掛け、行く途中、遊歩道に咲いている梅の花を見て「綺麗ねー！」と話されていました。昼食準備では、ちらし寿司などの料理を作り、完成したごちそうを見て「美味しそう。」「豪華ねー。」と喜ばれていました。おやつには、和菓子とひなあられも召し上がり満足され、皆さんひな祭りを楽しまれている様子でした。

3月8日（日）
明日ボエンデを退居されるATさん。いつもやさしい笑顔と柔らかい口調でお話になられ、その穏やかな性格に私達スタッフもずいぶん癒されました。今日はティータイムにケーキと紅茶で気付かれないようにさりげないお別れ会を開きました。皆様と一緒に楽しまれ、ケーキも美味しそうにほおばっておられました。夕食は高齢になられて固い食材が困難なご様子でしたのでATさんが喜んで頂けるメニューをと、KKさんとお買物へ。「穴子丼だったら大丈夫だし私も嬉しいわ」とKKさんもご機嫌です。ATさんは時間をかけて穴子丼と好物の酢の物を完食されました。ATさんこれからもお元気で長生きされて下さい。心より願っています。

3月13日（金）
冬に入居されたばかりのTAさん。「毎年春には近くの井草の森公園でお花見をするんですが、TAさんは行ったことが無いと思うので下見に行ってみませんか？」とお声掛けすると「へえ～、行ってみたいねえ！」と乗り気に。車椅子を押して公園まで歩かれ、「暖かくなったね～。」「ここまで歩いたらかなり運動になるよ。」と明るい表情です。公園は桜の木が1本だけ八分咲きになっていて、「綺麗だねえ～。ここらの人はいいよね、こんな良い公園があって。」と、公園を気に入られたご様子。咲き始めた菜の花の花壇の前で写真を撮り、マスクを取り忘れてしまったのですが、柔らかい表情をされていました。公園の休憩所では「下手な物よりお茶がおいしいわ。」と緑茶を選んで飲まれ、帰りは車椅子に乗られて「これは楽よ！」と喜んで帰宅となりました。

3月17日（火）
今日は、ISさんのご家族が遊びにいらっしゃいました。まだ1歳にならないISさんのひ孫さま。ISさんはもちろんの事、周りの方達も、可愛い可愛い赤ちゃんから、目が離せないといったご様子でした。先程まで具合が悪いと話されていた方、いつも表情がかたい方達が、皆さん、赤ちゃんを前にいつの間にか優しい表情になり、優しい声になっていました。「また遊びに来てね！元気が出たわ！」とお見送りされていました。

3月21日(土)
少し体調が悪いとお部屋で休まれていたTAさんに「おいしいお蕎麦でも食べに行きませんか？」とお誘いすると「たまにはいいわね。」と玄関へ向かわれています。お蕎麦屋さんへの道すがら咲いている色々な花を見てTKさんと「綺麗ね。」「見事だね。」と楽しそうに話され、春の暖かい陽を浴びて気分も良くなられたご様子でお蕎麦屋さんではかき揚げせいろを残さず召し上がられています。帰り道ではお二人で「皆でお弁当持ってお花見に行きたいね。」と桜が咲くのを待ち遠しそうにされていました。